2021S 経済法 中間小テスト試行1
2021-04-23
これは試行です。
次の日本経済新聞の記事を読んで、この被疑事件で問題となっていると報道される市場を140字程度以内で述べてください。
東京大学の学生
日経電子版
「 」の市場。・・というように解答してください。
複数ある場合は、「 」の市場と「 」の市場。・・というように解答してください。
簡略化のため、「中部電力ミライズ」は「中部電力」の一部であるとみなして解答してください。
解答用Googleフォーム
(終了したので削除)
ECCSクラウドログイン必要
送信期限
4月25日(日)13:00(13:00ちょうどは不可)
十分余裕を置いているだけであり、10分〜15分程度以内で終えられる問題です。
解説
中間小テストは、本番でも、内容の評価は成績評価には関係ない。相対的にあまり詰まっていない問題もあり得る。
注意書きだらけになっても興醒めなだけ
商品の範囲の切り口と、地理的範囲の切り口。
地理的範囲は、供給者の地理的範囲か、需要者の地理的範囲か。
特別高圧と高圧
特別高圧と高圧を分ける?
需要者が異なり、代替性もないが・・
地域で分ける?
低圧
電力会社とガス会社の競争?・・イメージできる?
全国?
答案のなかには、一応、合ってはいるが、分かっているのかどうか不明、というものもある。
わかっていることをそれとなく示せたほうがいいかも。
質問・感想などコピー(全てではない)
「市場を確定する場合、どのように回答すべきか(「〜の市場」の「〜」の部分)が分からず、回答したような書き方で良いのか迷いました。」
「地理的範囲の画定が難しいと思いました。合意がなされた範囲からすれば、上記のように画定することになると思うのですが、「特別高圧電力及び高圧電力」と、「低圧電力及び都市ガス」の間で、地理的範囲が異なるのは、やや違和感がありました。」
「書き方がよく分っておらず難しかったです。(需要者が誰で供給者が誰というところまで特定するのか、顧客獲得に関して競合と書くことが適切なのか、等)」
「「特別高圧電力の供給の市場」のような「供給の市場」という言葉遣いは誤っているような気がしつつも、そのように回答してしまいました。やはり、「供給の」という部分は不要でしょうか。」
「特別高圧と高圧の市場は需要者の観点からすると別の市場を形成するものなのかなと考えたのですが、両市場を合わせて一つの市場と評価することはできるのでしょうか?」
「電力自由化によって、需要者の地理的範囲は全国に拡大したと解釈していいのでしょうか」
「検討対象市場の画定がわからなかった。電力の自由化によって需要者は全国の電力会社から電気を購入できる気がしたので中部地方といった日本の一部について市場があると言ってしまっていいのかわからなくなった。一方で、東と西では電圧周波数が違うので電気については全国的市場ではなく東と西それぞれの市場ができるようにも思えた。」
(需要者の嗜好については、もっと詳細なコメントもありましたが、以上をもとにさらに考えてみてください。)
その他
「中部電力ミライズ」のことは省略しましたが、実際の事件では、9k84「誰が違反者となるか」の問題になります。
4/28授業後の質問
記事前半では「顧客の獲得を制限」、後半では「価格カルテルの疑い」があるとのことですが、市場画定にあたりこのような問題は考慮しなくてよいということで宜しいでしょうか。(「顧客をめぐって競争する市場」というような要素を入れなければいけないのか悩みました)
shiraishi.icon
まず、「顧客の獲得の制限」というのは、競争法に慣れた人にしかわかりにくい意味が込められています。それぞれの供給者ごとに特定の顧客(需要者)を割り当てて、他の供給者が奪いにいかない、という意思の連絡のことを、「顧客獲得制限」といいます。本件では、たぶん、中部・関西・中国という地域ごとに顧客(需要者)を分けあった、という疑いがかかっています。
それに対して、担当の顧客を決めてしまいはしないが、価格は高めにしましょう、という競争停止もあります。それが、「価格カルテル」です。
このように、これらは、行為要件(やそれに基づいて議論する弊害要件)の問題であり、市場という、行為があるより前から存在するものには、関係ありません。
ただ、「顧客をめぐって競争する市場」という表現は、汎用的な表現であり、価格カルテルの事件でも使えると思います。
「中部、関西、中国地方の大規模工場」という3つの地方をまとめた形で需要者の範囲を画定することは可能であるとのことですが、「中部地方に所在している大規模工場」「関西地方に〜」「中国地方に〜」という形でより細分化した需要者の範囲を確定することも可能でしょうか?
4/30の授業で説明します。
解答例
中部、関西および中国のビル、大規模工場、オフィス、工場などを需要者とし、中部電力、関西電力、中国電力などの電気事業者を供給者とする特別高圧電力・高圧電力の小売の市場と、中部地区の一般家庭を需要者とし中部電力や東邦ガスなどを供給者とする熱源の市場。